司書を目指して三千里

困ったときの助け舟

学校経営と学校図書館['23-'24]

設題

まず、学校図書館を訪問し、見学してください。レポートには、最初にどのような学校かを説明した上で、その学校図書館の、校内での場所や広さや所蔵冊数・学校司書の配置の有無・学校図書館での司書教諭の仕事内容・授業での利用頻度などの現状と自分が感じたことについて、テキストの内容と比較し説明してください。そして、もしこの学校の司書教諭となった場合、何をすればよりよい学校図書館となるか、何をしてみたいか、いくつか具体的に提案してください。

 

 

本文

1.はじめに
本レポートでは○○都道府県○○市立○○中学校(以下、●中)の学校図書館を調査した結果から、よりよい学校図書館にするための手立てを考える。なお、●中は筆者の前任校であり、●中図書館は図書館司書を目指すきっかけとなった場所である。

2.調査結果

2-1.設置場所
●中の図書館は3階の西館と東館の間の渡り廊下に面した位置にある。同じ3階の西館には第二学年、東館には第三学年の教室があることや、移動教室の導線であることなどから生徒が行きかう場所に位置する。
2-2.広さ・設備
教室の1.5倍ほどで、座席は1学級全員分(6人掛けの大きなテーブルが6つ)と、図書委員が牛乳パックで作成した切り株のような椅子も設置されている。壁沿いの書架は高層書架で、そうでないものは低層書架のため、図書館全体を見渡すことができるようになっている。
2-2.蔵書
  所蔵冊数は約19200冊と多いため、準備室や書庫に保管しているものもあり、スペースは足りない状況だが、予算削減のため古い本を捨てづらいという悩みもあるという。

2-3.雰囲気

 休み時間は利用率が高く、特に昼休みはさまざまな学年の生徒が出入りしている。生徒らは漫画や雑誌を友人たちと会話をしながら読んだり、机に座ってただ喋っていたりとさまざまである。冬はストーブが設置されるため、そこで暖を取るためだけに3年生が押し掛けるなど、生徒にとっては敷居の低い憩いの場となっている。また、一昨年度まではカウンターにおもちゃが設置されており、交流の場にもなっていた。(図書館にふさわしくないという理由で撤去された。)一方、放課後は課題に追われる生徒や静かに読書をする生徒がやってくる静かな場所になっている。

2-4.授業での利用
 授業での利用は多い時で週に2.3時間で、国語や社会の調べ学習や家庭科の読み聞かせ合いなどさまざまである。一方、○○市では生徒に一人一台のタブレットが支給されているため、それを使って教室で調べ学習をすることも多い現実もある。ほかにもブックトラックに必要な資料を積んで、教室でそれらを使ったり、行われた授業に関する資料で臨時コーナーを設けることなどもある。

2ー5.教員との関係

 ○○市の中学校では一校に一名の司書が在籍している。●中では司書は分掌会議に参加したり、研究授業に参加するなど、教職員の一員であるという意識が高い。司書の出勤日は生徒の登校日のみのため、夏休みなどはブックトラックにおすすめの本などを積んで職員室に置いておき、教員が本を借りやすい工夫もされている。司書教諭との連携は図書委員会で共に活動する程度で、予算の使い方等図書館の運営については司書に一任されている。

2-6.その他の取り組み

 冬休み前には「本の福袋」と称し、数冊の本を袋の中に入れて中身がわからない状態で貸し出しを行ったり、ALTと一緒に洋書を翻訳したり、図書館を楽しむさまざまな工夫がなされている。

3.●中で実現したいこと

 2-3で述べたように生徒の利用率が高い図書館であるが、一人あたりの貸出冊数は平均8冊と少ない。貸出冊数を伸ばすため、まずは学級文庫の充実を図りたい。担任や図書委員が選んだ数冊を教室に設置し、二か月に一度入れ替える。また、それらを読む時間を学校全体で作りたい。例えば月に1週間、あるいは週に1日だけ朝読書を取り入れることから始め、朝読書の時間を生徒だけでなく教員にも浸透させたい。朝読書では教員も一緒に読書をし、今読んでいる本などを紹介するのもよいだろう。
 次に、週に2.3時間の授業での図書館利用は授業が週30時間あることを思えば、少なく感じるため改善を図りたい。司書教諭は授業を受け持っていることが司書との違いであるため、積極的に図書館を授業で利用し、さまざまな利用モデルを他の教員に提示したい。思えば、筆者が中学生の時、国語の授業では自習の時間は図書館で授業が行われていた。そのように、図書を使う授業でなくても図書館を利用することで、生徒にとって図書館がより身近なものになるだろう。さらに、環境を変えるというのは授業にメリハリを生むことができるので通常の授業を図書館で行うのもよいだろう。他の教員の図書館活用方法を把握していない教員がほとんどなので、利用した授業の内容や改善点なども教職員に共有したい。共有方法は職員会議等でもよいが、生徒にも配布する図書館だよりの片隅でもよいだろう。利用モデルを知った生徒から「この授業は図書館で受けたい。」という提案などが出るようなことがあれば、授業がより良いものになると感じる。 

3.さいごに

 ●中の図書館は筆者の学校図書館のイメージを覆した、生徒から愛される明るい図書館である。この図書館のすばらしさを維持するには、図書館の良さを多くの生徒や教職員、保護者などに気づいてもらうことが必要である。また、時代の教育ニーズ合わせて新しい挑戦をし続けることも重要である。そのために学び続ける者でありたい。

 

2052文字

 

 

〈参考文献〉

文部科学省『これからの図書館像』〈http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/giron/05080301/001/002.htm

 

 

 

 

講評

「図書館司書を目指すきっかけとなった」ということですが、この科目は司書教諭の科目であり、本当に司書を目指しているのか、司書教諭なのか、書き分けてほしかった。

(中略)

このレポートで大きく気になるのは、司書教諭については「図書委員会で共に活動する」「連携」しか書かれていないことです。教科書に書きましたように、法律上は、”司書教諭の資格を持った先生が学校に1人いればよい”わけですが、学校司書がいたとしても、司書教諭の仕事はあります。学校司書は必ずしも教育の専門家ではないからです。
取り組みたいことは、概ね賛成です。

(以下略)

 

科目の感想

テキスト自体も読んでいて面白く学ぶのが楽しい科目でした。

先生からの講評もここに乗せている3倍ほどの文量で、レポートを書き終わった後も講評から学ぶことがありました。勤務している学校や母校など、実情を知っていたり、生徒像が想像しやすい学校を選ぶと筆が進むともいます。

司書教諭の資格も並行して取得している人は科目数が多く、大変ですが、がんばってください。応援しています。